【金融市場レポート】米国中間選挙後の金融市場の展望(その1)

中間選挙の結果と金融市場の反応

注目された11月6日の米中間選挙は、事前予想通り、上院は共和党が過半数を維持する一方、下院については民主党が8年ぶりに過半数を奪還しました。この結果、来年1月に召集される米第 116 議会は、4年ぶりに上下両院で多数派が異なる所謂「ねじれ議会」となることが決定しています。

ねじれ議会となったことで、予算関連法案を中心に議会承認が必要な各種法案は大統領および共和党の意向が過去2年に比べて通りにくくなる見通しとなりました。国防やインフラ投資については民主党が歩み寄りの姿勢を見せているものの、それ以外の法案の審議は難航が予想されています。このため、結果として、大統領権限が広く認められている通商・外交等においてトランプ大統領がこれまで以上に強硬な姿勢を取る可能性が高まると考えられます。

ザックリと言うなら、 『今後の経済政策は、民主党が共和党に対して、どの程度協力的な姿勢を示すかに大きく左右される』ということ。ただ、追加の税制改革など大きな政策変更はそもそも困難だったこともあり、 『今回の選挙結果は米経済見通しに大きな影響を与えない』が市場のコンセンサスでしょうか。

事前予想通りの選挙結果だったことで、特段のサプライズもなく、金融資本市場では所謂『リスク・オン』のリアクションが先行しました。即ち、選挙結果が明らかになるとリスクセンチメントの改善を受けて欧米の株価が急上昇し、為替市場ではドルと円がともに弱含みの展開に。とりわけ、米国株の堅調さが目立ち、選挙翌日の7日の主要株価指数は前日比2%超の上昇となりました。

「中間選挙後は株高」というアノマリー

ここ30年(過去7回)の中間選挙を振り返ると、実施時点から翌年3月末にかけて、米S&P500指数は過去7回中6回上昇しています。その上げ幅は平均10%となっており、結果のいかんに拘らず、米株は中間選挙後に上昇しやすい傾向にあったといえるでしょう。今回も、同様の展開になるかどうかが注目されるところでしたが、先週末にかけて米国株は軟調に転じてしまいました。

もちろん、これは一時的な調整に終わる可能性はありますが、中間選挙直後に期待が高まったインフラ投資拡大も、セッションズ長官の解任を受けて超党派による合意の実現性が急速に低下しました。

ここ2年間の米国を中心とした株価の急上昇を支えた主因をあえて挙げるとすれば以下の2つです。
① 世界的な未曽有の金融緩和による『膨大な流動性の供給(金余り) 』
⇒米国は既に正常化に転換
② トランプ大統領が強引に進めたトランポノミクス(必要以上の需要喚起政策)
⇒既述の選挙結果によって、政権による政策執行に急ブレーキがかかる

これらの要因変化から、「期待先行」で世界的に上昇を続けてきた株価に変調の可能性が高まりました。個人的には、「中間選挙後は株高」というアノマリーは、今回に限っては期待しづらいと考えています。

一方、為替相場では今後、連邦議会がねじれ状態となったこともあり、ドルの買い持ちポジションの巻き戻しが起きる可能性があります。先々週発表された独:9月の鉱工業受注指数と鉱工業生産指数は、それぞれ前月比0.3%、同0.2%上昇しており、市場の予想を上回る強さを示しました。

順当に考えれば、ドイツの生産活動は第4・四半期に大きく回復するはずです。仮にユーロ圏の経済指標が改善してくれば、米中間選挙後のリスクセンチメントの改善が継続する中、全般的にドルの買い持ちポジションの巻き戻しが始まり、ドル安と円安が同時に進行する可能性があります。そうなってくると、当然クロス円は上昇しやすい地合いが継続する展開となるはずです。(次回に続く)

 

米国中間選挙後の金融市場の展望(その2)は、来週金曜日(11月23日)に掲載を予定しています。


【金融市場レポート】のコーナーでは、政治的なイベントや経済発表などを題材として、現状の分析や今後のマーケット予想などをお届けします。初回となる今回は、米国中間選挙後金融市場の展望を、今週と来週の2回に分けてご説明します。金融のエキスパートによる視座、視点が皆様のお役に立てば幸いです。

by Hoshino