【金融市場レポート】顕現化し始めた信用リスク (その1)

前回のレポートでは、信用(クレジット)バブルがリスクとして顕現化する可能性に触れましたが、今回はその続編的な位置づけとなります。

仕事柄、様々なメディアを通じて毎日多数の経済・金融市場関連データやレポートに目を通し、中長期的なファンダメンタルズ・金融市場に関して、極力精緻な分析と的確な予測が出来るよう努力しています。 そして月が替わると、前月「最も気になったデータや報道」を徹底的に調べるのが慣例です。

実は、昨年11 月に目を通した膨大なデータ・報道の中で、直感的に『これはヤバイ!』と感じたものがありました。それは、市場関係者なら誰もが目を通す日経ではなく、11 月 16 日付の朝日新聞朝刊での記事です。ポイントは「日本の地方銀行がこれまで毎年上半期(4-9 月)に取り崩してきた貸倒引当金が、今年は 5 年ぶりに繰り入れに転じた」ということ。 即ち『9 月末までの本年度上期、日本の地方銀行はほぼ「貯金」を使い果たしてしまった』ということであり、もちろん『これは、顧客預金の話ではない』ということです。

地銀はこれまで、2008 年のリーマンショック直後に積んだ引当金が決算上の「貯金」となり、この取り崩しによる戻入益を計上することで減益を補ってきました。しかしながら、遂にこの「貯金」が尽きたことが明確になったのです。
<ある地銀関係者によれば、「収益のサイクルがいよいよ最終コーナーに差し掛かった」と表現した。 :朝日新聞> そうです。

世界に拡がる「ゾンビ企業」

これは日本だけの話ではありません。世界でも、何とか生きながらえている「ゾンビ企業」が増加の一途をたどっています。BIS(国際決済銀行)が 9 月にリリースしたレポート「The rise of zombie firms(増加するゾンビ企業)」によれば、データが入手可能な 14 カ国の上場企業の 12%が、今やゾンビ企業となっているようです。

BIS が定義する「ゾンビ企業」とは、過去 3 年間、利払いが利益で賄えない状態に陥っている企業です。この超低金利環境においてすら金利負担に耐えられないようでは、金利の上昇時にはひとたまりもないでしょう。こうした「破綻予備軍の比率は現在、過去 30 年超で最悪である」( BIS)としています。

仮に、既述の上場企業の 12%が本当に破綻したらどうなるでしょうか。金融危機が起きた 2008 年ごろに、BIS がゾンビと認定した企業の比率は 8%程度でした。一方、S&P グローバル・レーティングによると、当時の社債デフォルト率は 4.24%だった模様。ゾンビ比率が 12%まで上昇している今、急速な景気後退に見舞われた場合、2008 年の悪夢を超えるショックが訪れる可能性も否定できない状況です。(続く)

 

次回の金融市場レポートは、1月25日(金)に掲載を予定しています。


【金融市場レポート】のコーナーでは、政治的なイベントや経済発表などを題材として、現状の分析や今後のマーケット予想などをお届けします。金融のエキスパートによる視座、視点が皆様のお役に立てば幸いです。

by Hoshino