ニュースを読み解く!トランプが目指す国作りと為替への影響

さて、最近では、米中の貿易戦争が激化し、日本の株価や為替への影響も懸念されていますが、そもそも、長い目でみて決して得策ではないようにも思える貿易戦争を、なぜ、トランプは仕掛けたのでしょうか。

単純に、貿易赤字がかさんでいるから・・・だけじゃない、アメリカが脅威を感じているのは何なのか、を読み解いていきたいと思います。

アメリカVS中国の貿易戦争はなぜ起こったのか?

今回の貿易戦争は、アメリカ政府は、今年6月、500億ドル相当の中国製品に25%の追加関税を課すことを発表したことに端を発します。

このときのアメリカの言い分は、ハイテク技術などの知的財産権が中国に侵害されているというものでした。

そして、まずは第一弾として7月に818品目(340億ドル分)に課税しました。それを受けて、中国も直ちにアメリカの農産物や自動車の545品目(340億ドル分)の報復関税を発動しました。

その後、アメリカ政府は、さらに追加関税をかける中国製品(2000億ドル分)のリストを発表しています。

中国とアメリカがぶつかることは宿命だった?!

2008年に起こったリーマンショックで先進国の経済が低迷する中、中国は着々とGDPを拡大させ、それに比例して軍事費も増加させてきました。

この10年の間に、中国の軍事力は強大になっており、脅威は増しているのです。

トランプ大統領が封じ込めたいのは、アメリカとの貿易格差もさることながら、この中国の軍事力拡大です。

アメリカの対中貿易赤字は、3752億ドル(42兆円)にも達していますが、対中貿易に切り込むことは、経済だけでなく、安全保障の面でも効果を発揮するものとなっているのです。

実際、外貨準備を元手にして、中国人民銀行は、人民元を大量発行しています。そして、その莫大な予算を中国は軍事費にあてることにより軍事力は強大さを増しています。

結果的に外貨獲得による通貨拡大が、中国の強大化を増長させているところを、トランプ大統領は抑えたいのでしょう。

中間選挙に向けてのパフォーマンス!?

アメリカは、日本やEU,その他の国にも高関税を課しています。

中国には及ばないものの、アメリカの対日貿易赤字も数百億ドルを超えますから、日本にも追加関税を課してきてもおかしくありませんし、そもそも、日本経済と中国経済は、別なようで、かなり結びついているため、(日本のメーカーの工場や中国にあったりする他、中国との貿易も活発です)中国経済が下を向けば、日本も無傷ではいられないのです。

そのため、マーケットは戦々恐々としながら、この貿易戦争を見守っているという背景があります。

とはいえ、8月頭に行われた日米通商協議では、貿易をさらに拡大させるという方針で両国一致で終わっていますし、次回9月会合でも、極端な制裁は行われないという楽観的な見方が広がっています。
アメリカとEUとの協議も穏やかに終わっているようですから、トランプ大統領的には、とにかく、貿易赤字を埋めることに必死というより、中国の脅威に対しての制裁のような意味合いが強いのではないかと思います。

一方、トランプ大統領が、中国との貿易戦争においては、過激とも思える政策を行っているのも、秋の中間選挙に向けてのパフォーマンスとも言われています。

そのため、秋の中間選挙までは、先行き不透明感は増していくのではないかとも言われており、為替市場も注意が必要です。

ただし、長期的にみると、こうした関税の応酬合戦はアメリカ自身のためにならないことは、(物価が上昇すれば結果的にアメリカ国民の負担が増える、アメリカ経済への影響が甚大など)トランプ大統領自身がよく分かっているでしょうから、どこかで譲歩していくと思われますが、それが、どこかというところですね。そこが、明確になるまでは、完全に楽観はできませんから、マーケットの懸念は続くでしょう。

米中貿易戦争の沈静化模索の動き

安心材料として、先週後半、米中貿易戦争の鎮静化を模索する動きが報道されました。米中が貿易交渉を再開し、11月の米中首脳会談で決着するように動くのではないかという見方が報道されています。

今後の為替の動きはどうなる?

よく「リスク回避の円買い」といわれますが、今回の貿易戦争への懸念から円買いが進んだかと言われると、そうでもないのが実情です。

というより、アメリカ経済が好調であることを受けて、貿易戦争の懸念があるにもかかわらず、ドルも円もリスク回避を理由に買われた結果、わりと狭い範囲の109円〜111円での値動きが続き、一時112円をつけたりもしましたが、年初につけた113円台にのることはありませんでした。

ここから、秋の中間選挙にむけて、しばらくこのあたりの範囲での値動きを続けるのではないかとも思われていますが、米中の貿易交渉が収束に向かい、貿易戦争への懸念が楽観視されれば、さらなるドル買いが進み、その場合、113円を超えてドルの値段が上がる可能性が高いと予想されます。

とはいえ、トランプ政権は、色んな問題をはらんでいますから、選挙を超えてまた、どうなるか分からないというのも事実です。

貿易戦争関連の問題が楽観視できて、かつ、ドル下落に動く要素が他になければ、ドル高に動くでしょうという注釈は必要です。